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あいちトリエンナーレ・小鳥の作品について


*この記事はリンク先をすべて読むとしたらとても長いので、興味のある方だけ、あちこちご覧ください。
*なかなかまとめきれなくて、書き始めてから1週間経ったけど、あさっての会期終了までにと思ってUPします。


あいちトリエンナーレの豊橋会場、水上ビルで23日まで展示されているラウラ・リマさんの作品について・・・

まずはさかのぼって、9月5日の私のブログの記事です。


参考に眺めていた、豊橋地区の作品がまとめてある記事。
8月23日の投稿で、その時のラウラさんの作品についても出ています。



息子たちと楽しみにしつつもなかなか行けず、10月10日、3連休の最終日に行ったら、60分待ちの行列で、その日は諦めました。

その翌日の夜、facebookで、友達のシェアを通して、この記事を知りました。
シリーズとなっていて、とても丁寧に書かれています。
この記事がきっかけとなったのか、インターネット上で、この作品の是非について、いわゆる炎上状態となりました。


この方は、弱っていた小鳥の保護までしてくれて、我が家でも今、セキセイインコを飼っているので、小鳥への心配が納得でき、私としては過剰な動物愛護という感じではなく、実際に行動に移してくださったことをありがたいと思いました。

大炎上のまとめ。


この問題から、事務局が公式発表したページ。

私も、10月12日にfacebookで、みかりんさんのブログをシェアしながら問いかけたところ、多くの方から心配の声が・・・

「アートよりも、生きものの命を第一にしてほしい」

という意見を中心に、作者不在のなか、現場のスタッフが悪いのではなく、主催の「愛知県」や「管理」の問題を指摘する声が複数でした。

そんなタイミングとなってしまい(もしも最初に行った10日の行列に並んででも観ていたら、違っていたわけで)、息子たちを連れて、恐る恐る行ってみたところ(10月13日の午後・・・小中学校の帰りが早かったので)、受付や入り口からして、明らかに様々な変化がありました。

*事務局のページに掲載されていることと重なりますが、私の見た印象を書きます。

入場前にみんな手を消毒、靴をおそらく消毒液を浸してあるマットの上でゴシゴシ、心配されていた一階の階段下部分は、踏まれる心配や寒くなってきたので小鳥がいなくなっていて(階上へ)、屋上も寒くなってきたということでドアが閉められ、上がれなくなっていました。


和式のトイレ部分も閉鎖。
今まではなかったであろう葉っぱが置かれ、餌の種類も変わっていました。

スタッフさんに聞いたら糞も片付けたとのことでした(今まで片付けてなかったのは、鳥たちの自然な状態を表現したい作者の意向だったそうで)。

2階、3階部分にいる小鳥たちはみんなとても元気で、楽しそうに飛び交っていました。
私たちが行った時はお客さんも少なく、明るいエネルギーしか感じなかったです。
これが、お客さんが多かったり、カメラをたくさん構えられたりすると、どうしても鳥たちも委縮してしまうそうで、8月から始まった展示ですが、室内の気温も含めて、お客さんが訪れたタイミングで印象がだいぶ違うんだろうな、と思いました。

作品というか、鳥たちの様子です。

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写真だと止まっていますが、よく飛び、よく鳴き、愛らしく元気でした。


会期中の訪れるタイミングによって作品の印象が違うというのは、古典的な静物画と違って現代アートではよくあることだし、アートの醍醐味は、概念崩しにあると思います(私もかつて、現代美術作家の助手をしていたので、様々な作品を見たり、アーティストから直接話を聞いた体験があるので、そう感じる)。

例えば、今回の変更点の中でのトイレの部分。
スタッフの女の子に聞くと、トイレ内も鳥たちは気に入ってよく遊んでいたそう。

動物愛護の観点からすれば、もちろんトイレの衛生面は気になるけれど、長年空き家となっていたトイレでオブジェのようになっており、人間がトイレと思うものも、鳥にとってはトイレではないわけで、簡単に「ひどい」「かわいそう」って思うのはちょっと違うかなあと思いました。

寒さ対策は当然だけど、屋上へ上がれなくなっていたことに、息子たちは残念そうでした。


たぶんこれは、トイレも屋上も閉鎖されていたから残念に思っただけで、もしも、閉鎖される前に行っていたら、また違った感情を持ったと思います。
現に私も、ネットの情報を見て、すごく残念に思いながら、足を運んだ状態でした。


表現活動は、人々が持つ固定観念への挑戦も含むので、そういうアナーキーなことと、命の尊重を同時に行うというのはかなり難しく、その辺りの想定が、作者本人も、主催の愛知県もかなり甘かったのではないかと思います。

もともとのコンセプトの甘さが、今回のシチュエーションにより露呈してしまったようにも感じる。


生きものの展示を含む場合、当然、いちばん大切なのは生きものの健康状態や命で、作者が常駐したり、近く(せめて国内)に住んで、責任を持てるのならまだわかるけど、外国人アーティストで、会期中いなくなるのがわかっていたら、この種類の展示はしてはいけないし、選出の段階から気をつけるべきだったと思う。

ラウラ・リマさんが悪い人とは思ってないけど、ブラジルと日本では、気候や季節の移ろい方が異なるので、どこまで想定していたかは疑問です。

想定を超えた反響を生むこと自体もアートの一部だと思うけれど、今回については、この話題性が成功とは全く言えない。

「あいちトリエンナーレ」自体、アートというものにどのくらい理解や器があるのかなあって思います。


今回、現場のスタッフさんたちとも帰りにいっぱい話してきたけど、彼女たちはたまたま担当となっただけで、小鳥に関する知識がないのはやむを得ないし、作者不在の中で、本当によくがんばっていました。

ねぎらったら、泣きそうになってる子も・・・。



同じ日に別の会場の作品もたくさん見てきたけど、豊橋会場のプラット以外の水上ビルや開発ビルは、いわば廃墟のような、ふだん使われなくなった空間を使っての展示で、昔からアートの展示ではよく行われることだけど、それにも問題を今回は感じました。

私にとっては、展示空間の「気」の方を強く感じてしまって、純粋に作品にうまく入れなかった。

作品よりも、地の空間の方をおもしろいと思ってしまう自分がいました。


これは好みなのでそれぞれの受けとめ方が違うと思うけど、私も過去に美術作品の展示を様々な会場で手伝ったことがあるので、空間によって見え方って全然違うということを痛感してきました。

空間ありきで作品をつくっていったアーティストも多かったと思うけど、くすんだ背景が味となる場合もあれば、くすんだ背景によって、作品もくすんで見えてしまう場合もあるわけで・・・

例えばラウラさんの小鳥の作品も、新しめの無機質なギャラリーだったら全く違う印象だっただろうし、美術に不慣れな人が持ちがちな、「あんな古いみすぼらしい建物の中でかわいそう」みたいな感情部分は芽生えなかったと思います。

書きながら完全に自分の好みや感じ方だなあと思うけど、大学4年の時に、大学内の私たちの学部がよく使っていた校舎が建て直されることになった時に、壊す予定の校舎を使ってアートイベントみたいなことが行われたんだけど、それに近づけなかった自分がいたことを思い出した。

壊すから葬る前に何か特別なことをするとか、してもゆるされるみたいな感覚じゃなくて、私はたぶん、そのまんま壊してほしかったのかもしれない。

入試で使った部屋や、語学で使った部屋や、待ち合わせで使ったラウンジや・・・

息子たちの古着で、捨ててもいいものを最後、掃除に使ってもいいのだけど、よく着ていた思い出深い服ほどそのまま処分したい、みたいな・・・(よほどの思い出の品は取ってあるし)

私は、古びていくものや朽ちゆくものへの愛着を持ちやすい方で、そもそも、今回の小鳥の展示も、古めかしい小鳥店とのおつき合いがなかったら行かなかったと思う。

そんなわけで、古い建物からは使われていた頃の記憶を感じ取ってしまうので、単なる背景と思えず、混沌とし過ぎてしまう。


と、
つらつら書いてきたけど、終わりが来なくなるのでこの辺で切り上げます。

今回、私はここまで長々書いたのは、自分がここやFBで紹介した責任上という気持ちもあります。

ネットで拡散した方々は、その後についても責任もって拡散してほしいと思います。


最後に、鳥の保護活動をしていて、もともと、新聞のインタビュー記事で見ていたこともあるTSUBASAの松本さんのブログより。

松本さん自ら保護や清掃に豊橋に来ていたなんて、本当におおごととなったことが、なんだか情けない気持ちでした。

そして、私たちが行った日はまさに、大掃除の翌日で、それで健やかな空気や清潔感を感じたのでした。


























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by hihararara | 2016-10-21 08:17 | アート | Comments(0)
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